技術書典6に初出展したところ300部の新刊が完売した話

2019-04-14, 技術書典6が池袋で開催されました。私は、前回の技術書典5の際に、買いに行く側としての初参加を果たしたのですが、その際「来年は書く側で出しなよ〜」と多数の皆様に煽られ応援されたのでした。

その流れを踏まえ、今回は絶対に書いてやるぞ!という強い意志で、アンケートをとった結果

OS Girlsというタイトルが人々にもっとも望まれているということでしたので、ひとまずサークル参加の応募をしたところ、高倍率の中ではありましたが、運良く参加できることが決まったのでした。

もうこうなったら、何か出さないわけにはいかない(出せなかった場合、もう一生技術書典からbanされてもおかしくない)ので、とにかくやっていくぞという気持ちになれました。

結果、初めての執筆・入稿・販売ということで、ヒヤヒヤしながらではありましたが、なんとなんと用意していた印刷部数のすべて、300部を頒布し尽くすことができました!

というわけで、ここまでの大雑把な流れと、ついさっきまでの当日の様子、反省点などをまとめておきたいと思います。

前日まで

正直言って、進捗は芳しくありませんでした。以下の画像は、執筆リポジトリのCode frequencyのグラフです。

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Code frequency of os-girls

どう見ても、締め切り直前にどかっと書いている様子がわかりますね。

ちなみに、入稿は4/9に行いました。(印刷は日光企画さんにお願いしました。)

元々は、日光企画の技術書典のしめきり表にある「40%OFF」つまり3/27に入稿できたらいいな、とか考えていたのですが、無理でした。ええ、無理は禁物です。

結局、自分はもう真のしめきりがいつだか知っているのだから、それを騙すことはできないのです。ロジックは正直です。

というわけで、滑り込みで入稿して、しかもその日の締め切り時間の数時間前に確認の電話があり

「原稿の本文の一部が完全に崩れていて読めない」

という衝撃的な事実がわかり、SATySFiで出力したものを入稿するなどという冒険をした自分を呪うなどしました。(日光企画さんにはお手数をおかけしました…丁寧な対応でほんと助かりました…)。

とりあえず、Macで「印刷」からpdfをエクスポートし直したものと、最悪のケースに備えて全ページを600dpiのjpgで出力したものを同封して再入稿するなど、バタバタとしたのち、連絡がなくて心配になりついに電話して確認したところ

「いただいたデータで大丈夫でしたので当日お届けいたします!」

と言っていただけて、やっと人心地ついたのでした。

前日準備

さて、これであとは人事を尽くして天命を、というところでしたが、ブースの設営もなにせ初めてでしたので、先人の知恵をインターネットで検索して、必要そうなものをリストアップして急遽買うなどしました。

急遽買ったものとしては、ブックスタンド、おかねを入れる袋、コインケース、透明ブックカバーなどがありました。

あと、現地には電源がないということだったので、大容量のモバイルバッテリーを買うなどしました。(元々欲しかったのでちょうどよかった。)

さらには、前日になってはじめて「500円で頒布するならおつりの500円玉がたくさん必要では?」ということに気づき、焦って1000円を握りしめ、コンビニに走ってアイスを買うなどしました。

ブース環境ともちもの

ブースの環境としては、運営からの注意事項にもあった通り

  • 机半卓(横90センチ×奥行45センチ)椅子2脚
  • Wi-Fiはなし
  • 電源もない
  • 飲食は可能、ごみすて場なし

という状況でした。

持っていったものとしては、

  • hikaliumステッカー全部(400より少し少ないくらいか?)
  • 目玉・ダブルクリップ(テーブルクロス固定等に使う)
  • モバイルバッテリー(スマホ充電用)
  • スケッチブック的ななにか(おしながきや完売表示に)
  • ふせん(価格表示やとりおき表示に)
  • テーブルクロス(みんなやってる)
  • マスキングテープ(テーブルクロスとかブックスタンドを固定できる)
  • 油性マーカ(おしながき書いたり)
  • ノート(おかねの管理等)
  • ブックスタンド(サンプル展示用)
  • ブックカバー(サンプル用)
  • 名刺(あるといいかも)
  • のみもの(水がないと死ぬ)
  • おかね・コインケース・お金を入れる袋(お金はだいじ)

という感じでした。

あと、本体としてのPCとか、通常の装備を持って行きました。

当日

なんとか起床に成功し現着。

本も無事に机の下に配送されていて、ほんと印刷所の方と運営スタッフありがとうという気持ちになった。

ほぼ初めての印刷入稿だったが、想像以上に「数学ガール」感を出せていたのでとてもよかった。マットPP貼り大好き!

そして、ブース設営完了。

(このあと、windholeの風穴さんから、吊るタイプのpopハンガーをお借りして、ブースがさらにパワーアップしました!)

ちなみに、売り子はセキュキャン同期で、かつCERNLLVMを書いていたことで知られているYuka Takahashi氏にお願いしました。ほんとに優秀で超助かりました。ありがとう。popなどはyuka氏が書いてくれました。

技術書典の会場はラッシュ時の中央線並みに混雑し、かつとても広く、出口は1箇所しかないため、会場外に昼食やトイレに行く場合はものすごく時間がかかります。それを考えると、売り子なしの1人でブースを切り盛りするのは不可能です。かならず売り子はだれかにお願いしましょう。

そして、あとは売るだけ。とにかく売る。お金を受け取って商品を渡す。簡単後払いのバーコードを読んでもらって確認画面を見て商品をわたす。それの繰り返しです。

弊ブースでは、現金・かんたん後払い・Pixiv Payの3種の支払い方法に対応していました。

内訳としては、簡単後払いが予想以上に多く、ざっと確認した限りで100名以上の方が利用してくださっていました。

Pixiv payは2名ほどでしたが利用者がおり、それ以外はすべて現金だったようです。

(かんたん後払いアプリ、販売数や金額の統計が見られないのでつらいです。とても便利なアプリなので、その部分を改善していただけるとより使いやすくなると思います!)

現金の支払いについては、Pixiv payのレジ機能で一応カウントしていたのですが、応対が忙しくなるにつれ、入力漏れが増えてきてしまいつらかったです。

当日ネタと終焉

あとは、ステッカーを50枚強奪していく悪いオタクが出現したり(きちんと対価はいただいているのでよいのです)

差し入れをさまざまな方からいただいたり(差し入れてくださった皆さま、ありがとうございました!!)

そうしていたらいつのまにか机の上の在庫だけになり、

そして完売。(ちなみに最後の一冊は、BitNOSのuchanさんが買おうとしていたら、隣のブースの暗黒通信団の方が颯爽とお買い上げしていきました。)

私もまさか完売するとは思っておらず、完全にBOOTH倉庫に直接発送できるサービスを使おうと思っていたのですが、使わずに済んでしまいました。びっくり。

とはいえ、早く売り切れになりすぎることもなく、大幅に売れ残ることもなく、ちょうどよいか少し少ない、といった程度の冊数だったのではないかな、と思います。

ちなみに、この記事を書いている、技術書典終了後の夜のチェック数はこんな感じでした。

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まとめ・反省点

結論としては、本当に最高の1日でした。まさか、こんなにも自分の書いた文章を買ってくださる方がたくさん、しかもリアルワールドに存在するなんて、すごくすごくありがたいことです。

正直、もっと本のクオリティをあげたかったな、というところが最大の反省点に今はなっています。

OSGirlsを読んでくださったみなさまはお気づきかと思いますが、実は結構内容が不足していたり、唐突な終わり方になってしまったりしています。特に、途中で唐突に出てくる elf.hbuild.sh なんて、本のどこを読んでも書いてありません。ええ、これは私の能力不足です。

サポートページへのリンクもつくったのですが、内容がゼロです。本当にすみません。一週間中に充実させます。(少なくとも、本の中でアキとミカが体験したことをできるだけの情報は提示します。)

…とまあ、たいへん穴だらけの作品だったわけですが、それでもみなさんが私に期待して、購入してくださったということがとても嬉しいですし、原動力にもなりました。

秋の技術書典では、もちろん続きを出したいと思います。今度は、さらに盛りだくさんで、充実した内容になるようがんばります。

というわけで、今後も OSGirls は続けて行きたいと思いますので、みなさまどうかよろしくお願いいたします。

デジタルデータ販売

BOOTHにてPDFデータの販売を開始しました。

booth.pm

こちらのデータは、現在は技術書典6で頒布した冊子と完全に同一の内容ですが、今後内容を更新した際には最新の版に更新してゆく予定です。

次の技術書典に向けて応援してくださるみなさまや、物理本を買うことができなかったので内容が気になる方はぜひ購入していただけるとありがたいです。

謝辞

OSGirlsの表紙絵は、私の古くからの友人である @From_boku_To_ 氏に描いていただきました。忙しい中、無理を言って描いてくださってありがとうございました。今後ともよろしくお願いします(笑)。

技術書典6の販売ブースでは, Yuka Takahashi氏にお手伝いいただきました。完璧なオペレーションで私が離席中も一切心配する必要がありませんでした。本当に感謝です。

また、何度か執筆の場を設けてくださったサイボウズの風穴さん( @windhole )にも大いに感謝しています。また執筆会を設けていただけると助かります!

そして、今回の作品の形態のベースとなった「数学ガール」作者の結城浩氏と、私をOSの世界に引き込んでくれた「30日でできる!OS自作入門」作者の川合秀実氏にも深くお礼を申し上げます。ありがとうございました。

次回に向けて

技術書典7でもOSGirlsを出すぞー!!!

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