情報科学若手の会で登壇してきた

先週末の三連休、第56回情報科学若手の会に、若手特別講演の枠でありがたくも呼んでいただけたので、参加して発表してきました!

発表で使用したスライドはこちらにおいておきます:

ちなみに開催期間中に人々と雑談をしていたら知ってびっくりしたのですが、なんとこの会は1968年7月から続く由緒正しきイベントで、インターネットの父として知られる村井純先生が1955年生まれであることを考えると、驚くほど歴史が長いです。

過去の開催報告も、1996年以降の分については公式ページに存在しており、参加者の名前を見ると、私が大学生の頃に退職された筧捷彦先生が幹事として参加されていたりと、なかなか衝撃的に歴史の長いイベントに気軽に足を踏み入れてしまったことに開催中に気づいてしまいました。沼ですね…。(いいぞ!)

時系列ざっくりまとめ

準備

ちょうど休みがほしい感じのタイミングだったので、労働からdetachして過ごす日々に、わくわくしながら準備をしていました。

なお準備ができているとは言っていない(スライドも荷物も、前日の段階では進捗0でした…急いでがんばりました)。

ちなみにドライヤーがないとしおりに記載されていたので、家からつよいドライヤーを持参しました。 (実際にはふつうの強さのドライヤーはデフォルトで用意されていたので、なくても大丈夫そうでした。来年以降の参考までに。)

初日

新幹線っていう高速回線でhikaliumは転送されました。

思ったより寒く、猛暑の夏から冬の始まりに急に飛ばされたような感じでした。

そして、問題はここから研修施設までの移動をどうするか。まあなんとかなるでしょ、の精神で来つつ、どうやら知り合いが車でくるらしいという情報を聞き、便乗させてもらおうと思っていたところ、なんと渋滞で大幅に遅れそうになっていたとのこと。そうか秋の三連休ですものね、皆様も旅をしたいと思っていらっしゃるのでしょう。仕方ありませんわ…(三連休開催のつらいところ)。

なので、同じく交通手段獲得RTAを走っていた参加者のお二人とエンカウントして、タクシーで現地へと向かうことにしました。

(ちょうどここで量子計算機関連の雑談ができて楽しかったです。)

若干遅刻しつつ参加したところ、「ブログを書くまでが #wakate2023」という、どこかで聞いたようなフレーズが耳に入ってきました。ということで、このブログを書いているわけです。(振り返り、大事なのでね!)

初日の講演は

  • GoでORMを自作する
  • スポンサーセッション : PFNを支えるストレージシステム
  • 招待講演 : 実用水準のプログラミング言語を個人規模でつくる

の三本立てとなっていました。

特に3つ目の、SATySFiの作者gfnさんによる講演は、首を縦に無限回振りたくなるほど、何かを自作する際に発生しがちな感情や思考の機微を的確に説明する講演で非常にためになりました。

ちなみにgfnさんとは帰りのタクシーで一緒になったため、フォントやPDF周りの闇についてわいわい盛り上がることができました。Type 1 fonts は闇が深い、覚えた!

夜は、人々で親睦を深めるために Estimathonという数字予想ゲームが開催され、非常に盛り上がりました。 まず、ルールを理解するところからして「結果が小さくなるほうが得点が高い」という部分が、普段の思考のバイアス(大きい方が得点が高い)に引っ張られて頭がぐるぐるしましたし、その後も、どの程度のレンジで値を特定すればいいのかの戦略など、単なるフェルミ推定的な予想を超えた面白さが満載で、めっちゃ楽しかったです。これ、会社の人々とかと、またやりたいなあと思いました。

なお、我々のチームは頭のネジが外れていたので、途中で結果が爆発的に大きくなってしまい、スコアボードに数値ではなく「とても大きい」と書かれるなどの実績を解除してしまいました…(でも楽しかった!!)

そのあとは、各自が持ち寄った大量のお菓子を囲みながら、人々とわいわい喋りつつ、私はスライド作成RTAをしていました…。

あと、次の日のLT大会に向けて準備していたmomokaさんの検証を手伝っていたら、なんか平日に見慣れた画面に突入してしまい労働の波動を感じるなどしてしまいました(オープンソースだからへーきへーき!!これは仕事じゃないもんね!!)

二日目

早起きして朝食を食べる超健康生活(なお午前3時までスライド作成やパケットキャプチャをしていた模様)をはじめつつ、本題の講演二日目が始まりました。

「Wasmを実行するunikernelとWasmコンパイラの開発」という発表でsaza_kuさんとainnoさんが提案していたエコシステムは、確かに上手く行けばめっちゃ熱い話だな…というか我々なんとかOSもこういう方向に進むべきなのでは!?!?という示唆を得られる、とてもわかりやすくためになる発表でした。これからの成果を楽しみにしています!

量子計算機関連の講演も複数あり、まさに冒頭の軽井沢駅から研修所までの道のりを共にしたお二人がそれぞれ発表した内容は、どちらも量子計算の基礎をわかりやすく説明してくれていて、とてもためになりました。

あと、量子コンピューターの世界におけるOSはどのようなものになるのか、ということについてもお二人とお話できて、将来考えてみる価値のある面白いテーマかもしれないな、と感じました。

また、海外では量子コンピューターを自作した人々がいる、という話もあったりと、自作欲をかきたてられるお話も色々と聞くことができました。私も元々量子計算機には少し興味があって、ある程度の知識は本から摂取していたので、それに加えて実際に専門として取り組まれている人々の話を聞くことができたのは、非常に楽しかったです。

そのあとは、私の発表ターンに続き、様々な面白いトピックでの発表が続きました。研究発表的な内容も、ざっくりと概観するような内容も、どちらも摂取できるのが、この会の良いところだなあ、と感じました。

また、そのあとのLTでも、面白い話がたくさんあったのですが、まだ未公開な話も多くあったので、とにかく楽しかったということだけを記しておくことにします。興味がある皆さんは、ぜひ次回の情報科学若手の会に参加を検討されてみてはいかがでしょうか!!!!!!!

そのほかのメモ

参加者のひとり、asu_paraさんの参加記事

hikaliumさんはセキュキャンなどを通してOSとか低レイヤーの人ということで知っていますし、講演もその通りに沿ったものです。ぼく個人としては、自身は概念のようなものと宣言されているにも関わらず、人間的な一面が見られるpostが多いのが趣深い人やなといつも思って、見てます。

と書かれていて、分かるな〜、となっています(まるで他人事のように2)

あとは、低レイヤと高レイヤの話についての視聴者の反応(めっちゃわかる)

他にも、同室の人々が私も含め、みんな引きこもりコンピューター大好きオタクムーブを発動していて面白かったです。(この界隈、性別の偏りが激しいので、相部屋(ひとり)になりがちの人々が久々に修学旅行的な雰囲気の部屋に放り込まれて、結果みんなおふとんの上で座り込んでパソコンカタカタする夜、みたいになっていて最高でした。)momokaさんのあやしいパケット検証を手伝ったり、ainnoさんのRustコードをレビューする会をしたり、たまにはこういうのも楽しいなあ!と感じました。

ちなみに:フィードバックに書き忘れたのですが、女子部屋が最も交通量の多い場所に配置されていたので、もしかすると交通量が少ない廊下の奥の方の部屋のほうがよいのではないか、という話が挙がっていました。来年以降の運営の参考になれば…。

あとは、狭い界隈の人々と物理世界で会えたのがよかったですね。大学の研究室の後輩から「先生が、たまには研究室に顔を出せって言ってましたよ!」と言われたりとか(なおその方はNVDIMMをやろうとしていたところ、Optaneがおしまいになったのでおじゃんになったらしい、かなしいね)、私が行こうと思っていた大学院の研究室に行く予定の学生の方とか(品川先生〜)、セキュキャンつながりの人々とか、とにかく、たくさんの方々と話すことができて、とても楽しかったです。

まとめ

久々のイベント登壇でしたが、面白いことをしているたくさんの方々と会って話せるお泊りイベントはとても楽しかったです。たまには日常を忘れて、こういうイベントに参加するのも、よいアイディアを得たり、今後の道筋を立てる助けになるような気がしました。また来年も参加したいなあ、という気持ちにさせてくれる、快適なイベントを運営してくださった、幹事の皆さまと、参加者のみなさま、ありがとうございました!またどこかでお会いしましょう〜!!